【形態機能学#3】消化器系

ショートレクチャー
ようへい
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今回は,消化器系について説明します。消化器系は口から肛門までの消化吸収に関わる器官の集まりです。ひとつづつ重要な項目をまとめていきます。

ようへい
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歯は食物を細かく切り,つぶし,小さくするための器官です。動物により,その形や数は異なります。このような違いは,試験に出題される可能性が高くなります。

歯の基本的な構造は下図のとおりです。外から見える歯冠と歯槽(歯を納める骨のくぼみ)に収まった歯根,歯冠と歯根の境界である歯頸の3つの部位に分けられる。

https://hotto.me/10832より

歯は,エナメル質,象牙質,セメント質からなり,それぞれの違いにより歯の機能を保っている。

犬や猫の歯は,成長とともに生えかわることから「二生歯性」と呼ばれ,最初に生える歯を乳歯,後から生える歯を永久歯という(ヒトも同じ)。犬では,生後約5-7ヶ月,猫では,生後約5-6ヶ月で乳歯から永久歯に生えかわる。一方,ウサギやモルモットなどの草食動物は歯が一生伸び続ける。これを「常生歯」と言う。

歯は,働きにより「切歯」「犬歯」「前臼歯」「後臼歯」に分けられ,それぞれ「切歯(I)」「犬歯(C)」「前臼歯(P)」「後臼歯(M)」の記号で表すことがある。

https://hotto.me/10832より

犬の永久歯の数は42本(乳歯は28本),猫の永久歯の数は30本(乳歯は26本)でその内訳は下表の通り。

切歯(I)犬歯(C)前臼歯(P)後臼歯(M)
上顎6284
下顎6286
上顎6262
下顎6242

また,上顎と下顎の片側の歯数を種類別に示したものを歯式といい,歯の数を簡便に表すことがある。犬の永久歯は,切歯から順に奥に向かって上顎は3本,1本,4本,2本,下顎は3本,1本,4本,3本なのでこれを歯式で表すと,3142/3143と表記する。同様に猫は,3131/3121と表記する。

ようへい
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歯式を覚えておけば,全部の歯の本数は計算すれば出るので,歯式だけは確実に覚えましょう!

消化管と消化

口から摂取した食物は食道を通り胃に入る。胃では胃液が分泌される。胃から出た食物は次に小腸(十二指腸⇒空腸⇒回腸の順)に流れる。この間に様々な器官から分泌された消化液により食事中のでんぷん,たんぱく質,脂質が吸収可能な状態まで消化され,小腸粘膜から吸収される。吸収を終えた食物は大腸(盲腸⇒結腸⇒直腸)を流れる間に水分が吸収され,肛門より便となって排泄される。

消化酵素と吸収

動物が摂取した食物は消化管を移送される途中で様々な変化を受け分解される。この過程を「消化」という。特に,炭水化物,蛋白質,脂質の消化については消化酵素(名前と分泌器官)と吸収過程については抑えて起きましょう。

炭水化物(でんぷん)は,唾液中のアミラーゼや膵液中のアミラーゼ,小腸粘膜から分泌されるマルターゼなどによりグルコースに消化され,小腸粘膜より吸収され,毛細血管に入る。タンパク質は,胃液中のペプシンや膵液中のトリプシンによりアミノ酸にまで消化され,小腸粘膜より吸収され,毛細血管に入る。脂質は,消化される際,肝臓で合成された胆汁の働き(乳化)と膵液中のリパーゼにより脂肪酸とモノアシルグリセロールに消化され小腸粘膜より吸収されリンパ管に入る。

この消化・吸収は動物種により大きく異なる。犬や猫は分類上『食肉目』に分類される。(※犬は元々肉食だったが,現在では,犬はほぼ雑食,猫は肉食とされている。)また,牛や羊,山羊などの反芻動物は,人や犬猫の胃に相当する第4胃の前に,第1胃(ルーメン),第2胃,第3胃の計4つの胃をもつ。反芻動物は消化しにくい植物を主食にしている事から,ルーメン内に多くの存在する微生物により発酵を行う(このような動物を前胃発酵型動物)。中には,盲腸や結腸を発酵の場にして消化している動物もおり(このような動物を後腸発酵型動物),ウサギや馬などがこのタイプである。

肝臓

肝臓は,体内最大の臓器で,以下のような様々な働きを持つ。

  • 代謝
    小腸で吸収された栄養素や様々な物質が適切な形へと代謝される
  • 分泌
    消化液である胆汁を産生し分泌する
  • 貯蔵
    ブドウ糖や脂肪などの過剰な栄養素はグリコーゲンに変換して貯蔵する
  • 解毒
    アンモニアなどの毒性の高い物質を代謝し解毒する
  • 血液凝固因子の産生

犬と猫では,肝臓に切れ込みがある。この切れ込みによって分けられたひとつの塊を「葉」といい,全部で6葉からなる。「方形葉」と「内側右葉」の間には,肝臓で産生された胆汁を一時的に貯蔵しておく胆嚢が存在する。※この胆嚢は,馬と鹿とラットには存在しない!

膵臓

膵臓は,十二指腸に張り付くような形で存在する臓器。膵臓は,膵液を分泌する外分泌の機能とインスリンなどのホルモンを分泌する内分泌の機能を持つ。膵液は,胆のうから伸びる総胆管と合流して十二指腸に分泌される。膵臓から出る導管(分泌液が通る管)は主膵管と副膵管の2つがあるが,ほとんどの猫に副膵管は存在しない。また,インスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌する細胞の集まった部分をランゲルハンス島という(図)。

https://fairydoll2.exblog.jp/5288877/より
ようへい
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お疲れ様でした。今回は一気に消化器系の臓器を解説しました。消化器系の疾患は多く病気の説明のところでもまた出てきますので今のうちに抑えておきましょう!

次回は『呼吸器』について説明していきます!

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