今回は必ず出題される薬用量の計算問題についてパターン別に解説していきます。何度も繰り返し練習しておきましょう!
計算問題は以下の3つの手順で解いていきます。いつも同じように順番に整理していくと自然と計算問題は出来るようになります。
この3つのステップで解説していきますね。
※もう一つ大事なことは,計算の途中式に必ず単位を書いておきましょう!!
◇パターン1◇ 1回分の投与量
問 ある抗生物質(力価:100㎎/1錠)を薬用量10㎎/kgで5㎏の犬に投与するときの1回の投与量を求めなさい。
この問題は計算問題の基本的な考え方です。この問題を出来るようにしておけば,すべての問題が解けるようになりますので頑張りましょう!!
① 薬用量をチェック 問題の中で〇㎎/kgを探そう!
赤線の 『薬用量10㎎/kg』 まずはこれを使います。
② 体重や投与回数や日数をチェック 薬用量①にこれらの数値をかけて全部でどのくらい投与するのかを考えていきましょう!
体重:[ 5 ]㎏ 投与回数:[ 1 ]回分 日数:書いてない
薬用量 × 体重 × 回数 = 10㎎/kg × 5㎏ × 1回 = 50㎎
ここで出た数値は,『5㎏の犬に全部で1回に50㎎投与する』という意味です。
③ 薬の含量をチェックし,実際にどのくらい投与するのかを計算する
薬の含量(力価):100㎎/1錠(1錠には100㎎の薬が含まれていますという意味)
②で出た投与量 ÷ 力価 = 50mg ÷ 100㎎/1錠 = 0.5錠
答えは,1回の投薬量は0.5錠(半錠)ずつとなる
実際の計算
10mg/kg×5㎏×1回=50mg
50㎎÷100㎎/1錠=0.5錠
問 ある薬剤(力価:20㎎/2ml)を規定量0.5㎎/kgで8㎏の犬に皮下投与するときの1回の投与量を求めなさい。
考え方は同じです!液剤になってもやることは3つのステップで変わりません。
① 薬用量をチェック 問題の中で〇mg/kgを探そう!
赤線の 『規定量0.5mg/kg』 まずはこれを使います。
② 体重や投与回数や日数をチェック 薬用量①にこれらの数値をかけて全部でどのくらい投与するのかを考えていきましょう!
体重:[ 8 ]㎏ 投与回数:[ 1 ]回分 日数:書いてない
薬用量 × 体重 × 回数 = 0.5mg/kg × 8㎏ × 1回 = 4㎎
ここで出た数値は,『8㎏の犬に全部で1回に4mg投与する』という意味です。
③ 薬の含量をチェックし,実際にどのくらい投与するのかを計算する
薬の含量(力価):2mg/2ml(2mlには20mgの薬が含まれていますという意味)
②で出た投与量 ÷ 力価 = 4mg ÷ 2mg/2ml(10mg/ml) = 0.4ml
答えは,1回の投薬量は0.4mlとなる
◇パターン2◇ 処方の全量を求める
問 粉末の抗生物質(力価:150㎎/1g)を規定量5㎎/kgで3㎏の犬にBIDで6日処方するとき,抗生物質は全部で何g必要か。
3つのステップ忘れていませんか??
① 薬用量をチェック 問題の中で〇mg/kgを探そう!
赤線の 『規定量5mg/kg』 まずはこれを使います。
② 体重や投与回数や日数をチェック 薬用量①にこれらの数値をかけて全部でどのくらい投与するのかを考えていきましょう!
体重:[ 3 ]㎏ 投与回数:[ 1日2回 ] 日数:[ 6 ]日間
薬用量 × 体重 × 回数 × 日数 = 5mg/kg × 3㎏ × 2回 × 6日 = 180㎎
ここで出た数値は,『3㎏の犬に全部で180mg投与する』という意味です。ちなみに回数は全部で12回分になります。
③ 薬の含量をチェックし,実際にどのくらい投与するのかを計算する
薬の含量(力価):150mg/1g(1gには150mgの薬が含まれていますという意味)
②で出た投与量 ÷ 力価 = 180mg ÷ 150mg/1g = 1.2g
答えは,全部で1.2g必要となる
※ちなみに,粉末の薬を分包するときは,全量1.2gをBIDで6日なので全部で12包に分包すればよいので,1包あたり(1回分)0.1gの薬剤を投与することになります。
◇パターン3◇ 薬剤を溶かすパターン
問 下の写真のピペラシリン(力価:1g/1V)を生理食塩水10mlで溶解し,10kgの犬に20mg/kgで静脈内投与するときの投与量を求めなさい。
少しひねりが出てきました!でもやってることは3つのステップ!少しややこしくなってきたけど頑張れ!!
① 薬用量をチェック 問題の中で〇mg/kgを探そう!
赤線の 『規定量20mg/kg』 まずはこれを使います。
② 体重や投与回数や日数をチェック 薬用量①にこれらの数値をかけて全部でどのくらい投与するのかを考えていきましょう!
体重:[ 10 ]㎏ 投与回数:[ 1 ]回分 日数:書いてない
薬用量 × 体重 × 回数 = 20mg/kg × 10㎏ × 1回 =200㎎
ここで出た数値は,『10㎏の犬に全部で1回に200mg投与する』という意味です。
③ 薬の含量をチェックし,実際にどのくらい投与するのかを計算する
ここが問題です!問題にははっきりと書いていないので計算で力価を求める必要があります!
薬の含量(力価):1g/1V(1本に1gの薬効成分がありますという意味)
これを10mlの生理食塩水で溶解したので,1g/10mlとなる(10mlの中に薬効成分が1g入っていますよという意味)。そしてもうひと手間!1g=1000㎎(単位をそろえる・小学校算数)となるので,力価は1000㎎/10ml(100㎎/ml)(1mlあたり100㎎)
②で出た投与量 ÷ 力価 = 200mg ÷ 1000mg/10ml(100mg/ml) = 2ml
答えは,1回の投薬量は2mlとなる
まずは基本の3パターンを解説してみました。この3つのステップで求める方法は実際に我々獣医師も臨床現場でやっていることです(他の方法もしているかもしれませんが,僕はこの方法を取っています)。試験問題では,計算しやすいように数値を簡単にしてくれていると思いますので,ぜひこの機会にマスターしておきましょう!次は,もう少し発展編として点滴の計算を解説します。よろしくお願いいたします。
もしも読んでいるだけでは全然わからないという人はお問合せください。個別に解説いたします!
コメント
薬用量計算苦手で、練習問題をたくさん解きたいと思い、検索した所このページにたどり着きました☺️
良かったら薬用量計算の問題、またいくつかあげてもらえたら嬉しいです♪
素敵なページをありがとうございます!
コメントありがとうございます。また,素敵なページと言っていただいてありがたいです。
以下の問題の答えと求め方がわからないので教えてください
例題
内服薬
ダラシン 1カプセルに75mg
2.3kgの猫にBIDで7日分作ると全部で何mg、約何カプセル必要?(5mg/kg)
返信遅くなってスミマセンでした。
①まずは薬用量(規定量)を探します。・・・5mg/kg
②体重,回数,日数をチェックします。・・・2.3kg,BID(1日2回),7日間
①×②をすると全部で必要な量が分かります。
5mg/kg×2.3kg×2回×7日=161mg←必要量になります
③薬剤は1カプセルあたり75mg含まれていますので,161mgを用意するためには・・・
161mg÷75mg/1カプセル=2.14・・・となりますので,
約2カプセルとなります。
この問題の解き方を教えて欲しいです。
1.03%のフェノバルビタール(232.24g/mol)を含有する錠剤(1錠1.00g)を砕いて粉末とした。1回分にフェノバルビタール5.00mgを含む散剤を1日3回、1週間分調剤するには、フェノバルビタールの錠剤は何錠必要か。整数値で答える。
まず,1回分が5mgですので,これを1日3回で1週間(7日)なので,全部で5mg×3回×7日=105mgが必要になります。
情報が多くて大変ですが,1錠に1.03%の薬入っているということは1gのうち薬の成分が1.03%と言う意味なので(1g=)1000mg×1.03÷100=10.3mg/1錠となるかと思います。
全部で105mg必要で1錠に10.3mg入っているので,105÷10.3=10.・・・ となり,約10錠となるかと思いますが合ってますでしょうか?
この問題難しいですね